私の就職活動は、結果としてはいわゆるMBB(日本において事業規模の大きい戦略コンサルティングファーム)の内定が複数出ており、スケジュールとしては、夏に戦コン1社、冬に戦コン2社の内定をいただいた。
それだけ聞けば順風満帆そうなものである。
しかしながら、実のところはそのような華やかさとはかけ離れた体験であった。今回はその反省を後輩諸君に伝えるべく、敢えて「就職活動でやらなくてもよかった2つのこと」という捻くれたテーマで寄稿させていただきます。
【応募しすぎて夏のスケジュールが埋め尽くされる】
戦コン志望としては遅い6月ごろ、諸事情により就活を開始しだした私は、「シューカツ」という単語の響きに怯え、焦りのままに手当たり次第にサマーインターンや説明会に応募した。
当時、「就活」をテーマにした小説しか知識のなかった私は、大学生どうしの苛烈な戦いや大人による選抜にいいようもなく恐怖し、リクルートスーツに初めて腕を通した日は誇張ではなく嫌すぎてピーピー泣いた。
しかし蓋を開けてみれば、「東大」の成せるわざか、殆どの企業は難なくESを通過した。そうすると、「選考中」の企業は増え続け、累積的にやることも増えていく。毎日分刻みでWEBテスト(長い)やテーマ性のあるハイコストな課題の締切(本当にやめて)やら人生をまるっと深掘りされるベンチャーの面接(苦手)が詰め込まれたスケジュールが爆誕した。毎日何かしらに追われ、恐怖する暇もなかった代わりにほんとうに忙しかった。就活で激務を経験した。意味不明である。
結果的に行きたい会社に早々に内定したので2ヶ月という短めの期間でひと段落することができたが、そうでなければたぶん過労で倒れていた。
今思えば内定しても行かないであろう企業に割いた時間は勿体無かったし、必死にキャッチコピーを考えたあの時間を睡眠にでも充てればよかった。その方が本当に行きたい企業の対策に集中できたはずだ。
というわけで、就活生各位には、本質的でないものを切り捨てる力がなければ無駄に過密なスケジュールを過ごすことになろうというアドバイスを送りたい。過密なスケジュールは人から余裕を失わせ、すり減ったメンタルは結果的に自信の喪失にも繋がる。不要な頑張りはしないほうがよい。
【自己分析で自信を根こそぎ失う】
過密スケジュールと並行して、特に意味のない自己分析によってメンタルがズタボロになった。
ところで自己分析をした方はいらっしゃるだろうか。就活向けの。あれは要するに学生のたるんだメンタルに喝を入れ社会人としての自覚を芽生えさせる儀式のようなもので、取るに足らない。
しかし私は某自己分析本を素直に読み込んだ。結果、「自分いいところ一個もないやん、、」「こんなんじゃどこにも選んでもらえないよ」と毎日自己嫌悪し、完全に目から光を失っていた。人生で1番病んだかもしれない。
しかも今思えば、あんまり得られたものはなかった。選考の過程で面接官の方との対話の中で自分の良さ/反省に気づけたり、興味を深められたことは沢山あり、よっぽどそちらのほうが有益だった。人間は自分のことを自分で正しく分析できない。特に強みはなおさらだ。ゆえに、自己分析をすると自分の悪いところばっかり見つめることになる。それで自信を喪失させ就活塾やらメンターサービスにCVさせる作戦だとしたら悪質すぎる。
就活のために自己理解を深めたいなら、机上でうんうんと唸るよりも実際に多様な業界を受けてみるとか、面接官に印象を聞くとか、心許せる友人にインタビューでもした方がよっぽど良い。(深夜に「私のいいところって何」という気持ち悪いLINEを友人に送りつけた)
就活というただでさえ心に負荷がかかる状態でさらに自分を責める必要など全くない。むしろ、自分にある程度自信のあるキラキラした目の学生の方がたぶん可愛いので、くれぐれも自らのメンタルに喝を入れようと思ってはいけませんよ。
【やってよかったこと】
このままだと、じゃあなんで内定したんだよ!とクレームが来そうなのでざっくりと「これはやってよかったかな」と思うことを挙げる。
・一冊を丹念に読むインプット
→四季報の青いやつ、戦略策定概論、BCGの業界研究は何度も読んだ。数より質。
・ビズリーチで人に会う
→結果的にご縁がなかった会社の方でも、素晴らしい先輩方とお話しできた経験はとてもよかったし、働くことへのワクワク感が得られた。話した後の自分の印象を聞くだけでも学びになる。大人と話す練習にもなるだろう。
・議事録やチャートを書/描けるようになっておく
→これは地味に非常に活きた。ディスカッションやアウトプットで話が発散すると、「要するにこれって〜」と書きながら整理をするというまとめ方が出来るので重宝される。
最後に。私は結果として就活によって、忘れていた「考えることが好き」という自らの特性を思い出すことができ、幸いにもフィット感のある企業で働き始めることができた。
就活は決して楽しいものではないが、時間を割くなら自分にとってプラスになる経験にしておくほうがよいので、通過点ではなくこの経験から何を得られるのか?と自問自答していただきたい。
結果が出るまで道は長い人もいる。私も初内定がすぐ出たのはラッキーで、そうでなければかなり長いこと苦しんでいたはずだ。心が折れない程度に負荷を緩めなければ続かない。自分を追い込みすぎず、「就活」というものに呑まれないことは意識していたほうがよい。今までしっかりと人生を歩んでいた貴方には必ず何かしらの強みと魅力があるし、貴方と働きたいと思う企業は必ずある。私はそう思う。だから、自分を信じて頑張りすぎないでね、と急に先輩面をして終わります。
【著者プロフィール】
H.Mさん
2020年 東京大学文科三類入学
2024年 東京大学教育学部教育社会科学専修卒業
2024年 MBB入社
