「技術経営戦略学専攻」
これは、私が進学した大学院の専攻の名前だ。
この名を伝えると、必ずされる質問がある。(システム創成学科出身の読者ならばお馴染みであろう。)
「何を研究する場所なんですか?」と。
この質問をされると甚だ困った気持ちになるのだが、どうにか松尾教授の以下のお言葉をお借りして、答えることにしている。
技術経営戦略学専攻では、技術、経済・経営、社会にまたがる多様な領域からの教育、国際化の進む社会課題の解決を視野に入れた横断的な研究を行っています。〜〜
工学に根差した技術に習熟し、経営を理解して人を動かし、さらに俯瞰的な視点をもって様々な社会的な課題を解決し、新しい価値を生み出すことのできる人材を育成しています。またアントレプレナー教育によって、リーダーシップと論理的能力を兼ね備えた自立した人材を育成することにも力を入れています。
実際に所属研究室で行っている研究や卒業論文の内容も交えつつ何とか返答すると、何となく納得したように頷いてくれるので、ぜひこの「横断的な研究」というワードを心に留めておいてほしい。(ちなみに「MOT」「経営工学」とかもキーワードで、起業に関心がある人も多いように感じる。)
つまり、「技術の活用や価値の発揚の在り方を社会全体から俯瞰的に捉え直し、グローバルな問題解決に貢献する社会的価値創出を理念」とする、そういう研究科なのだ。
以下に述べるのは、このようになかなか伝わりづらい研究科を志す皆様に向けた、院試のログである。「助言」と言えるほど大層なことが書かれている保証はできないが、どうぞご参考までに。
ところで。
一つ留意してほしいことがあるとするならば、「就職予備校」と揶揄されている弊専攻であるが、実際のところそこまでではない、ということ。予備校的に何かを講義で教え込まれるようなことは全くない(当たり前)。他方、企業研究を突き詰めて行う自主ゼミの存在や、上場や事業提案を課す講義、最新のトピックを話題にして進む講義などの存在により、ビジネス的な話が身近に登場するのは事実であるから、”結果的に就活に優位に働いている”ということなのだろう。そういうことに関心がある方には、おすすめの研究科である。
個人的に、B4時に思っていたほどには周囲の人はガツガツ就活に取り組んでいないような印象があるので、その点だけ注意されたい。
院試前後の流れ
| 日程 | できごと |
|---|---|
| 4月末、6月頭 | TOEFL受験※6月の試験結果を採用 |
| 6月 | 大学院説明会 |
| 7月10日 | 研究計画書・願書の提出 |
| 8月4日 | 受験票をメールで受け取る |
| 8月18日 | 課題論文2本をメールで受け取る |
| 8月28日・29日 | 筆記試験・口述試験 |
| 9月7日 | 合格発表 |
| 9月14日 | 研究室配属についての連絡 |
| 9月26日 | 希望研究室提出締め切り |
| 10月17日 | 研究室配属結果発表 |
院試の内容
- 数理的及び論理的思考能力を見るための問題の入試問題:400点
- 問1:常微分方程式や線形代数、確率統計等、HPに上がっている過去問のような問題。(50点*4)
- 問2、問3:事前配布の論文に関する内容が出題される。(100点*2)
- 英語(TOEFL):200点換算
- TOEFL120点満点内、80点以上持っておくと平常。85点以上あれば安心。
- ただ一方で、60点程度で受かっている人も、120点近く取って受かっている人もいるので、数学の得意度と要相談
- TOEFL120点満点内、80点以上持っておくと平常。85点以上あれば安心。
- 面接
- 研究計画書の内容(志望動機及び研究計画書)について、聞かれる
- 研究計画書の内容(志望動機及び研究計画書)について、聞かれる
院試対策〜筆記試験〜
- 英語
某中国サイトを利用したReadingやListeningの対策をほぼ毎日していた。さらにListening対策のためBBCのポッドキャストを聞く習慣をつけた。
他方WritingやSpeakingは特別何もしていなかったが、研究室の英語話者の先輩と会話するなどしていたかな?と思う。(そもそも私自身の目標点的にその2分野に対する期待度が低かったので、その程度で十分だった。)
- 数学
ほとんど忘れていたため、思い出すためにマセマを解いた(常微分方程式、線形代数、微分積分、確率統計あたり)。その上でHP掲載の過去問をこなす+工学部の過去問もやったものの、先の4分野以外は解けなくても気にしなかった。応用問題が出るというより、前述分野が確実に解ければ大丈夫そう。
- 論文
TMIを受験する人と一緒に読み進め、適宜想定問題を設定し、その仮答えを考えた。
クオリティが粗くても全文和訳pdfがあると取っ掛かりやすい&だいたいどこに何が書いてあるかの把握がしやすいので、後輩の皆さんはぜひ、Dublyの翻訳機能などを使ってみたらいいと思う。
院試対策〜面接対策〜
研究計画書を先輩や同期に見せ、論の穴や質問が来そうなポイントを教えてもらい、それをベースに想定問答集を整えた。志望動機や研究概要に加え、ガクチカ的な部分も聞かれるため、その点も空で言えるようにした。また基本的な面接マナー(スーツ、ノック、礼儀正しくする、等)を徹底した。
ここで豆知識だが、受験番号順に面接時間割が組まれるため、どうしても二日目に面接をしたい人は、願書提出をギリギリにすればいいだろう。
面接の具体流れ
- 10分前集合
- 15分前くらいで受付して待機してる人、が多かった模様
- 5分前くらいにドアの前に誘導される
- 部屋から前の人が出てきたら、入室
- ノックする人、「失礼します」と言いながらドアを開ける人、いろいろいた
- 着席を促され、受験番号と氏名を聞かれる。
- 面接部屋は二つで、先生方6人ずつが控えている。
- 面接開始
- TMIの志望動機
- 所属と今の研究
- 勉強や学業以外にやっていること
- TMIで勉強したいこと
- 修士の研究計画を2分程度で
- 研究内容について、メイン質問者とサブ質問者がいるが、自身の所属研究室の先生は(おそらく)質問しない。
- 追加質問を他の先生がするスタイル(以下具体例)
- 修士論文としてやっていく中で、どういった追加の検討を行う必要がありますか?課題点もあれば教えてください
- 研究の余地はあるのか?
- (その他、具体内容系の質問2つ)
- 他PSI学生が聞かれた質問↓
- 面接官の先生が詳しくない用語の説明
- どんな先行研究があるのか
- この研究を企業の中ではなく大学でやる意味
- 他質問
- 私は、ガクチカとして「オーケストラの団長経験」を言ったため、「どういうことをして、困り事を乗り越えてきたか(的なこと)」を聞かれたはず…若干記憶飛び気味。
- 研究に対するコメントもちらっと。
- 人によっては、趣味の話で繋いだ人もいるらしい。
- 「時間なので終わります」→退室
全部でおよそ15分間で、7分志望動機等、8分研究計画書関連、という割り振りだった。
入った後のお話
TMIは意外と”就活塾”ではない、という話は上に述べた通りだが、もう少し学生生活的な観点でここでは書こうと思う。
TMIは卒業するためには30単位必要であり、人にはよるが多くの人が「M1のSセメスターで15-20単位、Aセメスターで10数単位、M2で残り」という取り方をするのではないかと思う。
並行して、外資系就活がM1の4-6月頃からじわじわと開始する関係で、時間の過ごし方的には「就活・授業・(研究室)」が主軸となるのではないだろうか。時間の余裕度合いについては、就活イベントがぽこぽこ入る関係で何となく慌ただしいものの、時間を”作る”こと自体は何とかなるため、要は時間の使い方次第、何に重きを置いて過ごすか次第、だろう。起業等に注力したい人は1年間の休学申請をしているし、M1やM2で1年間留学する、という選択をする人、就活に注力する人もいて、いよいよ将来に向けていろんな選択をするシーズンに入ったんだと感じる今日この頃である。
TMIの授業は、PSIの授業と同様の雰囲気である。つまり、普通に生きていたら単位は来るだろうな、と思える感じ。その雰囲気は引き続いてると思っていただいて大丈夫だろう(まだ成績評価出る前だが、きっと…!!!)。
TMIが気になる方へ
以上の通り、TMIはPSIの学生にとってはかなり同質の空間なのではないかと思うので、ある程度頑張って、(数学の勉強と研究計画のブラッシュアップをちゃんとして!)、ぜひ挑戦してみてほしいと思います。また他の学科の方についても、私の代は半数がPSI以外出身であることから十分に進学可能だと思うので、ここまで読んでくださった皆様におかれましては、ぜひ頑張ってほしいです。(ちなみに「PSI以外出身」と一口に言っても、東大他学部(文学部)や他学科(eeic)、他大(京大や神戸大、九大等)、留学生と、様々なバックグラウンドを持つ人がいて。その多様性もまた「横断的な研究」を行う研究科の間口の広さを表していますよね。)
ここまで、長々とした文章を読んでくださりありがとうございました。経験者は語る、的な感じで偉そうに書き連ねてしまいましたが、少しでも参考になっていたら幸いです。
【著者プロフィール】
M.K.
2020年 東京大学理科一類入学
2022年 工学部システム創成学科Cコース進学
2024年 東京大学大学院 工学系研究科技術経営戦略学専攻入学
