

超域文化科学分科は、学問領域・地域的境界・文化ジャンルなどを超え、文化とことばをダイナミックにとらえる教育研究ユニットです。そのコースには「文化人類学」「表象文化論」「比較文学比較芸術」「現代思想」「学際日本文化論」「学際言語科学」「言語態・テクスト文化論」の7つがあり、いずれにおいても横断的な学際的・総合的アプローチを重視するのがこの分科の特色です。伝統儀礼や民族芸能から、異文化間の交流、情報化社会における芸術や文化、それらの根底にある言語活動や思想にいたるまで、研究領域は人類の文化の総体が対象になっています。それゆえ、各コースは自律しながらも、コース間の連携や融和を図りながら、活き活きとした教育研究を実践することを目標としています。(学部HPより)
複雑化し多くの難問に直面する現代社会では、物事を根源的かつ総合的に思考して行動する哲学的知性(philosophical mind)が求められています。本コースでは、そうした時代の要請に応えるために、狭義の「哲学」に特化した専門性の追求にとどまることなく、現代思想と現代哲学の膨大な知的資源を主な素材としながら、世界の多様な現実との対話を通して、「開放系」としての哲学・思想を探求します。西洋・東洋の分断を超えた哲学・思想の遺産と、人文・社会諸科学の成果を正確に踏まえながら、知識と行為、言語とコミュニケーション、国家と歴史、倫理と宗教など、現代の生と社会の諸現象を、人間存在の根本から思索することをめざしています。本コースのカリキュラムでは、基本科目として「現代思想」や「現代哲学」、「文化社会論」や「倫理宗教論」の講義・演習などを開講するほか、特殊研究・特殊演習の各科目で、現代社会のアクチュアルな諸問題に積極的にアプローチします。たとえば、「倫理」の領域では、基礎倫理、応用倫理の既存の問題群はもとより、「モダニティとジェンダーの倫理」、「グローバル化と共生の倫理」といった先端的テーマが取り上げられます。また欧米圏の哲学・思想と同時に、日本・中国の思想が専門的に学べることも、本コースの特色です。本コースでは、現代社会の諸問題と広くかつ深く関わっていくための哲学的知性の養成を理念とします。したがってそれは、たんに現代の思想や哲学の深い学識の習得にとどまりません。明確な問題意識をもって現実世界へ関与(public commitment)する資質を育て、そうした実践的問題に理論的に取り組むための論理的・批判的思考(critical thinking)を鍛え上げることでもあるのです。(研究室HPより)
「文化人類学」は、地球上のさまざまな社会的状況における日常的実践を、「フィールド」の現場との分厚い関係にもとづいて研究する学問です。フィールドワークに基づく文化人類学独特の研究方法は、近代文明の対極にあるような部族社会や伝統的社会の人々とともに暮らす中で深められたものですが、近年はそうした研究方法が極めて広い応用性・有効性を持つことが理解されてきています。現代の文化人類学は、その研究対象を現代社会の様々な組織・施設に野心的に拡大し、また動植物を含む自然と人間の関係や、人工物ないし科学技術と人間との関係にも視野を広げて、重要な成果をあげつつあります。多種多様な人間の活動・営みについての、細部と全体の両方を把握しようとする複眼的な観察力や、協力者との関係を築く社会的スキル、さらに、それを「人間」の問題として、大きな視野の中で考察する強靭でダイナミックな思考が、この文化人類学という学問の特徴です。(研究室HPより)
「表象文化論」は、科学技術の発達、情報メディアの巨大化、知の細分化、文化接触の多様化といった、現代における文化環境の急激な変化を背景として、芸術や文化を「表象」という視点から多角的に研究する学問です。「表象」とはイメージや表現のことであり、文学、音楽、美術のみならず、ダンス、写真、映像、広告、ファッション、建築に至るまで、あらゆる領域の表象が対象となります。表象文化論では、西洋的な芸術観に限定されることなく、日本をはじめ世界各地の多様な芸術表現に注目し、その創造・伝達・受容という多元的で相関的なプロセスを詳細に分析します。哲学や理論的視点を基礎としながら、社会的、政治的、文化的などさまざまな角度から対象を捉え直し、それを明確な言葉として表現していきます。芸術や文化現象を緻密かつ全体的に捉えようとする複合的な分析力、さまざまな視点を横断し新たな関係性を発見する柔軟で鋭敏な視野、さらには世界各地の文化に対する幅広い関心を育むことが、この表象文化論という学問の特色です。
言語は、人の知的活動の根幹を成すもので、人と他の生物とを分ける大きな特徴の一つです。したがって、言語の本質の探究は、すなわち人間の本質の探究であることに間違いなく、ヒトが人であることの意味を問うにあたって、言語についての科学的理解は欠かすことのできないものと言えます。そこで、本コースでは、言語の構造と機能に様々な側面から光をあてつつ、統合的な人間理解をめざす視点からその本質に迫ることを目指した研究・教育を行います。(研究室HPより)
本コースは、日本文化に関する基本的な知識を学びながら、日本が歴史上あるいは現在において他文化と交渉するなかで、文化としてどのように成り立ち、何を特徴として進展してきたかを複眼的に問うコースです。「日本文化」は、日本1か国の事象をもって完結するものではなく、東アジアを中心に、あるいは日本列島と東アジアを含めたかたちで欧米諸国との相対関係のなかで存在する領域です。また、日本文化そのものが国内外において主題化され、文化モデルとして認識・表象されるという歴史的過程を俯瞰し、現代的意義を考察することも重要です。こうした視座のもとに、本コースのカリキュラムは、ひらかれた日本文化研究に不可欠なスキル習得のための授業を基礎とし、学生それぞれの関心にしたがって、古典から近現代の文学・歴史・言語・思想・芸能・芸術などを自由に探求できるように組み立てられています。さらに、これらの諸領域を横断・接続する「学際」的姿勢を教員と学生が共有し、欧米諸語やアジア諸語による日本学の研究成果を積極的に吸収しながら、世界の中で自ら発信する力を身につけることを目指しています。(研究室HPより)
私たちの考える「比較」とは、文化の越境とジャンルの越境(時にはその両方の越境)を指していると考えると分かりやすいでしょう。具体的には複数の文学・芸術間の影響受容関係の分析、影響関係のない類似文化現象の比較検討、複数文化の交流・交渉・葛藤などに関する歴史的考察、「異文化」理解の倫理の構築——などを挙げることができます。そしてその基盤には、文学であれ芸術であれ、対象となる「作品」への、どちらかというと実証的、歴史的な接近と分析を、何よりも大事にする伝統があります。(研究室HPより)
二十世紀以降,文化と社会の分析において言語の問題の重要性が強く意識されるようになっています。本コースでは,言語の問題を根幹にすえて文化事象を捉えなおす立場(テクスト文化論)から,文学作品をはじめとする様々なテクストが,社会でいかに受容され,時代とともに変化するのかを批評的に検証します。その際,複数の文化間で恒常的に生じている横断や交錯を念頭におきながら,その現れのさまざまな様態(言語態)に注目します。このような研究を体系的に進めるために,本コースでは「文化横断論」,「批評理論」,「メディアとしての言語研究」の学習を軸にカリキュラムを組んでいます。「文化横断論」とは,ナショナルな壁にとらわれることなく,言語と文化の交錯,交流,相互的変容のさまざまな姿を探求するものです。本コースには,日本語,英語,ドイツ語,フランス語,ロシア語,イタリア語さらには西洋古典語による文学を研究するスタッフがおり,様々な言語圏の文学・文化を学習できます。従来の文学研究は一つの国家や言語に自足しがちでしたが,本コースは「世界文学」の視座,すなわち脱領域的で複眼的な視座から,さまざまな文化・時代・言語によって織りなされるネットワークとして,また複数の文化の遭遇と対話の場として「文学」というシステムを捉えなおすことを目指しています。よって,文学・文化が複数の言語圏に流通するのに不可欠な「翻訳」という営みを理論的・実践的に研究することも,本コースの学習に含まれます。なお,本コースにおける文化横断論的研究は近代文学・文化のみを射程とするものではなく,例えば古代ローマにおけるギリシア文学の受容や,中世西欧世界における西洋古典文学の影響なども,本コースが目指す言語態研究の重要な一面を成しています。さらに,本コースでは,文化テクストの分析を実りあるものとするために「批評理論」の学習を行い,その実践的なトレーニングをカリキュラムに組み込んでいます。ナラトロジーなど狭義のテクスト分析の理論のほか,精神分析理論,フェミニズム理論,ポストコロニアル研究などの最新の成果を学ぶことが可能です。「批評理論」は文学テクストの分析にしばしば用いられますが,それは「文学」が人間の言語的構築物のなかでもっとも複雑で,もっとも豊かなものの一つだからです。そこで得られた知見は当然,「文学」を越えて拡張することができます。文化研究の発達した今日,批評理論は文学や思想の分析にとどまらず,映画やサブカルチャーなど他の文化的言説はもちろんのこと,社会的,政治的,さらには経済的な言説をも視野に含むものとなっています。上記のような多様な言説を分析する際,「メディアとしての言語研究」が重要になります。具体的には,写本から印刷本を経て電子書籍へと至る書物の歴史が言語環境に与えた影響を考えたり,ジャーナリズムの発達と小説の勃興の関連を解き明かしたりすることです。言葉が流通し,消費される現場に注目することで,特定のジャンルにとらわれない言語態研究が可能になるでしょう。以上のように,言語態研究の間口は広く,またそれが対象として扱う領域も多様です。本コースでは,言語と文化にかかわる様々なテクストを取り上げ,それをじっくりと,また多角的に読む機会を提供します。ナショナルな枠組みや言語と時代の区分を越えて多くのテクストに出会い,それをさらに新たなテクストに接続させて,文学,文化の生成する現場に参入しつつ,そこで働いている様々な力や価値観を批評的に分析することで,学生一人一人が言語・文化・人間のかかわりについて知見を深め,新たな認識の地平を切り開いていくことを期待しています。本コースは,教養学科超域文化科学分科を構成する7コースのうちの一つで,旧言語情報科学分科のうち言語態研究を専門とするスタッフによって創設された新コースです。言語態研究はまだ新しい学問ですから,ともに新しい人文科学を切り開いていく意欲にあふれた学生を大いに歓迎します。(研究室HPより)
就職約70%・大学院進学約30% 就職先として官公庁、教育・研究機関、企業、メディア、国際機関の割合が高いのが特徴