【プロローグ】
読者の皆さん、はじめまして!!
東大経済学部経済学科の木場悠人と申します。Dubly様にお話を頂いたため、2022-2023年度に1年間の交換留学をカナダ🇨🇦のUniversity of British Columbia(ブリティッシュコロンビア大、以下UBC)で行った経験をこちらに記します。様々な幸運や縁に恵まれ、濃密で忘れ難い留学生活となりましたが、全てを書くには紙面が到底足りないので、交換留学に興味があるような東大生の方々の道標となるような話を中心に筆を進めます。
記事が読みやすくなるべく、まず自己紹介や学校紹介を軽く行いたいと思います。
自分はコロナ禍真っ最中に東大の文科II類に進学し、その後経済学部に進学しました。交換留学は学部3年生夏から1年間のタイミングで行っています。元はミクロ経済学の理論に関心が向いていたのですが、留学中~東大復学後は、経済学の中でも Development, Labour, Political Economy 等のトピックを専門にしています。
【University of British Columbia】
留学先のUBCは、カナダ西海岸のバンクーバーに立地する大学です。バンクーバーは近海の海流等の影響で、夏は涼しく冬は比較的暖かい、カナダの中でもとても過ごしやすい気候を誇る港町です。この街の中心部に隣接する形で、千代田区ほどの大きさのある巨大なキャンパスが、直接海に向かい合うように広がっています。東大とは、世界大学ランキングがほぼ同じ(ここ数年は大体順位を奪い合う関係)であること、ともに私立大でないこと等の接点があります。また、現日銀総裁の植田和男氏をはじめ、過去・現職の東大経済学部の教員がUBCでの指導歴を持つ等、東大経済学部との結びつきが比較的深い大学でもあります。
入寮初日、寮の部屋より撮影。山と海のコントラストが美しい。
元より日本国外での大学生活に興味があり、また父親もカナダでの留学経験があり、当時の楽しい思い出話を幼少期から聞いていたため、カナダでの交換留学は自分にとり自然な選択でした。🇨🇦の大学の中でもUBCという選択に関しては、卓越したアカデミック面、類を見ない程恵まれた自然環境、スキー等の多様なアウトドアの愉しみがすぐ隣にあるような娯楽面、キャンパス内の寮の保証する優れた住環境、といった固有の強みを鑑みるに、我ながら大正解だったと思います。
【充実の1学期】
こう書くと勉強漬けで無味乾燥とした生活のように聞こえるかもしれませんが、実体験としては、かなり充実感に溢れる生活を送っており、是非あの頃に戻りたいと今も思っています。
UBCはアカデミック面に近年力を入れており、年々様々なリソースに投資を進めています。その結果、世界ランキングもうなぎ登りとなり、最近ではアカデミック面でカナダ首位とされるトロント大学に対し、さあ追いつけ追い越せといった雰囲気がキャンパスを漂っています。この大型投資等を進めUBCを世界トップレベルに押し上げた先代学長のSanta Ono氏は日系人で、UBCの日系コミュニティの誇りです。授業はどれも刺激的かつ丁寧であり、自分はUBCで経済学のイロハを学びました。付け加えるならば、自分は留学中のとある授業で読んだ論文に衝撃を受け、後にその論文関連の分野に専攻を変えることにまでなります。経済学では、当時はPolitical Economy 等の分野のスター研究者や、トップジャーナルへの掲載経験を持つ気鋭の若手など、有力講師が多く在籍していました。
また、巨大で美しいキャンパスが大変心地良い気候に包まれる時期でもあり、図書館を行き来するだけでもかなり気持ちの良い生活です。林立するビルの合間から見える東京の空とは違う、澄んだ冷たい大気の中どこまでも広がってゆくバンクバーの空は、何とも言えない清涼感を毎日に与えます。また、図書館や教室等もかなり量・質ともに整備されており、東大と比べるとその充実度合いが羨ましく感じる毎日でした。大きな図書館が数多くあるため、景観の良い、過ごしやすい勉強場所に困ることは全くありません。キャンパスの美しさに関しては、正直この記事では全く伝えきれないので、ご自分の目で確かめて欲しいと思います。
これまでの写真から風景が見て取れると思いますが、バンクーバーは海と山が接する地に立地する港町で、美しいカナディアンロッキーの玄関口でもあります。UBCは岬全体が大学、というような構造になっており、学内にビーチが三つあります。自分含め、日が暮れるくらいまで勉強し、毎日素晴らしい夕焼けをビーチで友達と眺める、といった優雅な生活を送っている学生が多い印象です。このビーチの一つは実は洋服着用が任意なので、夕日どころではないトラウマになるようなモノを見てしまったこともあるのですが.... 多くの学生が学内の寮に住んでいることもあり、自分は勉強が終わった夜は、基本的に友人達と楽しい一時を過ごしていました。勉強に遊びに休憩に、メリハリある学生生活の基盤が確保された環境です。UBCには世界各国から交換留学生が来ていますが、誰もが「ここの学生生活のQOLは本当に素晴らしい」と口を揃えていたのが印象的です。
徐々に気温が下がり、雪景色もちらほらと見られる12月上旬に、忙しかった1学期も終わりを迎えます。多くの学生がクリスマスに合わせ、年末年始は帰省します。自分はこの期間に異文化経験を名目に、カナダ各地を転々と旅行していました。休暇前にせっせと作られた雪だるまやかまくらが学校中に放置されている姿は、なかなか寂しいものでした。
【活気付く2学期】
2学期は1月中旬にスタートします。交換留学生にとっては、1学期で学業上も生活上も留学生活のベースを作っているので、存分にUBC生活を現地社会に溶け込むような形で楽しむ学期となります。注意点としては、日本・イギリスからの学生を除き、多くの国の学生は半年のみの交換留学を行います。自分の場合も、1学期は各国からの交換留学生が友達の多くを占めていたものの、2学期はそもそも彼らが帰国してしまったこともあり、イギリス出身の学生や現地学生が主な友人となりました。慣れも手伝い、自分は9時開始の授業のために8時50分に起きるような有様でしたが、徒歩2分で教室に着く寮の環境のおかげで、特に勉学に支障はありませんでした。
経済学系の授業が開講される建物までの道
カナダ中の街が雪を纏う2学期は、寒さに負けず、学生はかなり活気付く季節です。というのも、多くの学生がウィンタースポーツを趣味としており、皆学業にスポーツに忙しい生活を送っています。UBCの立地するブリティッシュコロンビア州(BC州)にはウィスラーという北米最大のスキーリゾートがあり、過去に冬季オリンピック会場となったこともあります。自分が滞在していた頃は、UBCキャンパスからこのウィスラーにバスが出ており、自分も時間割に授業のない日を作り、せっせとスキーに励んでいました。氷河の上や林間を滑る毎日の中で、気がつけばスキー上級者を名乗れるようになりましたが、これもスキー仲間や親切に手ほどきをしてくれた方々のおかげに他なりません。
友人達との一枚、右から🇬🇧🇺🇸🇯🇵出身の留学生同士
スキーに勉強に遊びにと忙しい日々を過ごしていると、あっという間に春が訪れ、2学期も終わりを迎えます。現地生は長い夏休みにインターン経験を積んだり、旅行に出かけたりとアクティブに活動するため、夏に向け4月から準備を始めるのですが、我々留学生は楽しい一年の終わりに若干落ち込みながらも、恵まれた縁や培った経験を振り返り、感謝を胸にBCの地を後にします。ビザによっては7月末まで滞在可能なので、帰国を遅らせバンクーバーの美しい夏を堪能したい方は、留学の早い段階から、学期終了後の家の手配等を行っておくことをお勧めします。
〜後編へ続く〜
【著者プロフィール】
木場悠人
2020年東京大学文科二類入学
2022年 経済学部経済学科進学
2022年9月〜2023年4月 University of British Columbiaへ交換留学
