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【実りある留学生活に必要だったもの】
周囲の交換留学生を見渡しても、自分ほどこの一年を楽しんだヤツはいないのではないかと思うほど、非常に実りある楽しい交換留学生活となりました。楽しめた要因は様々ですが、BC州には結局は今後旅行等でも行けますし、スキー等も今後いくらでもできる中で、交換留学を特別な経験に押し上げたのは、やはり友人達の存在に他なりません。世界中からUBCに集う交換留学生のコミュニティや、現地の友人達、正規留学で来ている留学生達との生活は刺激に満ち溢れていましたし、留学生活の1ページ毎に予想もしていなかったような友人達との冒険譚があったことで、彼らとは終生の友となる予感がしています。留学からしばらく経った現在も、互いの国を訪れ、また仲良くバカをするような連中に道すがら出逢えたことには感謝しきれません。実は、執筆時点の2週間前まで、下の写真に写っている仲間の一人と、ドイツで1ヶ月間共同生活をしていました。この友人とは、友達数人で一緒にクラブに行く際のバスで、いきなり目の前に座っていた人が大麻のオーバードーズのせいか(注:BC州は大麻が合法)車内で大の方を失禁し始めるというとんでもない形で始まった夜の冒険譚があり、良くも悪くもその日のことを忘れることはないでしょう。
【感じた成長】
交換留学終了からかなり時が経った今においても、未だ留学経験を消化する過程を歩んでいるというのが正直な実感ですが、学業やキャリア形成等の東大生の興味関心のある領域でどのように自分が成長できたのか、自戒も含みつつこの場で内省したいと思います。
学業に関しては、ここ半世紀ほどは経済学の中心は好き嫌いに拘らず北米であり、やはり新たなアイデアの芽吹きを日々感じられる環境に身を投じたことは大きな財産となりました。同時に、経済学の産業や政策への生かされ方のありようを、学生が近い距離から目の当たりにすることのできる環境も整っており、経済学をどう学べば良いのか若干道に迷っていた当時の自分にとり、今後の学究の道筋を良く示すような留学生活になったかと思います。
キャリアに関しては、恥ずかしながら留学以前は経験不要のバイト程度の職務経験を持っていたに過ぎず、留学中に知り合った世界各国の同年代の学生の多くが、既にインターンシップやRA等を通じ、既に大規模な組織や社会に貢献できるような人材に成長しているということに衝撃を受けたことを懐かしく思い出します。立派に社会的責任を果たす彼らに比べ、日本国籍と新卒就活という特殊な就労環境を盾に、東大生の肩書きに半ばすがるようであった自分がひどく矮小に感じました。こうした周囲の環境の中で、就活をする/しないに拘らず、積極的に職務経験を学生のうちから積みたいと強く思うに至り、留学の中ほどに慌てて英語圏でのスタンダードな履歴書やカバーレターの作成の方法を友人に教えてもらい、インターンシップ等に積極的に応募するようになりました。幸い、帰国後すぐにコンサルティングやフィンテック等の領域で、複数企業の下で素晴らしい経験を積ませて頂きました。研究上の示唆を仕事から得ることも多くあったため、周囲の少し若い学生には、時間等が許す限り、学部初年度等から多くの職務経験を持つことを勧めています。
寮から徒歩10分ほどにあるベンチ、留学最終日の朝に撮影
【ひとこと】
最後に、Dubly様から後進への交換留学に向けたアドバイスを書くようにと指示されていますので、僭越ながら幾つか記させて頂きます。
北米への留学を考えていらっしゃる方がいる場合、使う言語の習熟はやはり重要事項です。自分は英語(カナダは多言語国家ですが、BC州は英語が共通語です)を話すため言語の壁こそなかったものの、北米はやはり移民の社会であり、英語一つとってもレベル・訛り等においてあまりに多層的です。UBCにおいて自分が気をつけていたのは、相手がわかるように使う単語、話すスピード、アクセント等を調節するということでした。北米での留学生活は世界中の若者と協働できる貴重な場ですので、精神論のようですが、互いを思いやり良い意思疎通を取ろうとする姿勢を常に示しておくことが彼の地では重要な礼節になるかと思います。
逆に言えば、必ずしも英語(や地域によってはフランス語)が流暢で無くとも、悪びれずに喋り通すような態度でいるのが良いように感じます。時折、英語で話す際に「英語が苦手で申し訳ない」と前断りを入れる日本人の方を見かけることがありますが、英語話者にとってこれは悪い意味で妙な気分のする表現です。大概の非英語圏出身者は、わざわざ自分の言葉で話さずに英語で話してやっているのだから、辛抱強く自分の話を聞け、というような強気な態度でいますし、これが自然でしょう。ただ、警告というわけではないですが、UBCの留学生は殆どが非常に流暢に英語を話すので、英語がおぼつかないために悪目立ちするのが嫌であれば、早期から英語を話すことに力を入れるのが良いと思います。
また、近年の円安や日本の物価安がどこまで続くかわかりませんが、北米の生活は日本に比べだいぶお金がかかるため、金策は常にあるに越したことはありません。自分が後悔しているのは、留学前にインターンシップやTA・RA経験等が無かった為に、そうした仕事を現地で行い金策とすることが出来なかったことです。奨学金や貯金についての言及は他の方に任せるとして、後輩へのアドバイスは、研究経験や職務経験を留学前に積んでおくと、現地でそれを発展させる形で成長を遂げられるため留学が一層意義あるものになる、ということです。
最も大事なのは、想定外をSpontaneousに楽しむという姿勢でしょうか。留学の出願時点で東大側から留学の計画や意義を根掘り葉掘り聞かれるかと思いますが、自分の場合はそれまでカナダに行ったことも無く、海の先のことは何もわからんが気楽に楽しみに行くのだ、というような姿勢でバンクーバーに到着しました。振り返れば、最も印象的な留学の思い出の数々は、事前にネット検索をいくらしても出てこないような想定外のことばかりです。所詮交換留学、いざとなったら派遣元の東大が助けてくれますので、東大生の諸君は堅苦しく考えずに、気軽に海を渡って想定外の波に揺られれば良いのです。
末筆となり大変恐縮ですが、留学を実現するにあたり、多様な方々のお世話になったことに感謝の念を記したいと思います。JASSO奨学金や先生方の推薦状、何よりも家族の温かい援助が無ければこのような記事を書くことも無かったでしょうし、友人、東大やUBCのスタッフの方々、恩師、誰一人欠けても留学は頓挫していたことだろうと思います。出世払いではないですが、今後この経験を糧に、積土成山の気持ちで成長することで恩返しとさせて頂きます。
【著者プロフィール】
木場悠人
2020年東京大学文科二類入学
2022年 経済学部経済学科進学
2022年9月〜2023年4月 University of British Columbiaへ交換留学
