【はじめに】
突然ですが、皆さんは語学力を計測するCEFR (Common European Framework of Reference of Languages) という指標をご存じでしょうか。
詳細は公式サイトや文科省の換算表を見ていただければと思いますが、雑に言えば、「ネイティブスピーカーを6段階の最上級、無知の人を最下級において、包括的に語学力を計測する」という指標です。
下から順に、A1, A2, B1, B2, C1, C2 となっており、世界的には、「私は英語はC2、スペイン語はB1、イタリア語はC1」といった表現がよく使われます。東大生で平均的な英語力を持った学生はB1、10年ほど英語圏の学校に通った帰国子女の学生でC1、が個人的な肌感です。
この指標を紹介する理由は、英語学習の目的の明確な設定 です。
一国のトップ大学の学生である以上、好悪に拘らず、研究発表やビジネスを流暢に英語でこなす必要があり、話術を有効活用できれば尚良しです。
英語上達に関する日本語の情報には、言語学者や発音マスターへの道を説く、ピントのズレたものが非常に多いですが、東大生の目標
は、CEFRのC2に定義される「聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる。いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構築できる。自然に、流暢かつ正確に自己表現ができる」
に尽きると個人的には感じています。
先ほど長期間英語圏にいた帰国子女でもC1程度であると書いたため、非常に高いハードルのように感じる方も多いかもしれません。ただ、C2到達の目標設定は、「英語圏トップ大卒ネイティブとやり合う以上は、彼らと同レベルの文法と単語を身につけ、同時に気の利いた言い回しや発音等含めた話術を磨こう」という、細分化すれば明確に達成方法が思いつくものです。
この記事では、B1→C2まで、原則国内在住で英語技能を押し上げた個人的な経験を、読者の皆様に簡単に共有したいと思います。
学問やビジネスの世界標準語である英語の習熟度において、現代の[^1]東大生は率直に言えば鍛錬が全く足りていません。「たかが英語、されど英語」とは痛い指摘ですが、今後東大生が世界市場に活路を見出し、本来の潜在能力を最大限に発揮する一助となればと願い筆を取る次第です。
注1)戦前の東大生は割と皆英語が達者であったようです
【第一段階:B1 → B2 → C1】
そもそもCEFRの説くBとCの違いは、Bは “independent” に英語を使える、Cはそこに ”fluency” も加わる、ということです。つまり、多少幼稚ではあるが簡単に英語で考え英語で質問に応答できるBレベルと、流暢自在に会話ができるCレベル、という相違となります。
行間を読めば、CEFRにおいて念頭に置かれている言語上達の過程は、第一には乱雑に英語で考え英語で話せるようになることから始め、その後その能力を精錬する、と定義されています。
B1 → B2 までの道は非常にシンプルで、まずは単語と文法が無ければどうしようもなりません。また、同時に「単語と文法を極めてから話す練習をする」のではなく、「手持ちの単語・文法でどんどん話す練習を積み重ねる」のが王道かつ近道です。学問ではなく言語なので、スピーキングこそが英語を習達する最適な方法であり、それは仮にアカデミックな読み書きが英語学習の主眼であるような場合においても一緒です。
第一には、以下の内容をひとまずインプットするのが良いと思われます。
- 改訂版 英会話超リアルパターン:まず会話に必要なフレーズがまとめられている。
- 鉄壁:まともな東大生であれば知らない単語は0であるべきだが、優先度はやや低め。
- Duolingo:意外と英語学習もできるらしい(家族談)。
アウトプットの場としては、この段階ではオンライン英会話や語学留学に投資することを強く推奨します。
経済学には Opportunity Cost (機会費用)[^2]や Economic Cost[^3] という考え方がありますが、書籍や無料アプリのみを使う勉強法は金銭的な費用自体は低いものの、Economic Cost は非常に高くつきます。
同時に、「日本での国際交流」と検索して出てくるような手法も、東大生として目指すべき英語の素地と必ずしも相性が良いとは言えず、こちらも時間を鑑みると Opportunity Cost が甚大です。
長い将来を考え、国内外問わず成長を志す東大生であれば、迷わず学生のうちにオンライン英会話や留学などの投資を行うべきだと考えます。語学留学は、東大経由のプログラムが沢山あるので、まずは二週間程度のものに行くと良いでしょう。
注2)ある選択を行ったことによって、得ることが出来なかった価値
注3)機会費用に加えて、実際に支払われる明示的費用の合計
また、B2に達したあたりから、映画やドラマ等をシャドーイングしたり、英語字幕で鑑賞するような時間を意識的に取ることをお勧めします。その際、知らない表現等はメモをとり反復する習慣を持てると良いでしょう。
逆に言えば、B1の段階ではいわゆる「英語コンテンツで学習」はモチベーション以上の意味をあまり持たないと個人的には思います
(とはいえモチベーションは語学学習において非常に大事です!!)
自分は高校生時代に引っ越しを契機に押し入れの奥からたくさんの映画やドラマ(例えば「フレンズ」のDVDがありました)を見つけ、古いDVDプレーヤーでひたすら観ていたのが良い思い出です。一緒に英語の勉強にも精を出したこともあり、受験勉強に入る前にかなり英語を鍛えることができました。
〜後編へ続く〜
【著者プロフィール】
Y.Kさん
2020年東京大学文科二類入学
2022年 経済学部経済学科進学
2022年9月〜2023年4月 University of British Columbiaへ交換留学
